Vシネマ、それは東映が1989年より発売開始したオリジナルビデオ映画の略称で、劇場公開せず販売とレンタル中心の映画のことをいう。映画ライターの鈴木長月氏がVシネから派生したエロティックVシネについて解説する。
「世良公則主演の『クライムハンター』(1989年)から始まったVシネは、アクション+エロの2大要素を盛りこんだことで人気が出ました。それが家庭で気軽に観られるレンタルビデオのニーズともマッチして、次第にジャンルも細分化。宮崎ますみの大胆濡れ場で話題を呼んだ『XX ダブルエックス 美しき凶器』(1993年)の大ヒットをひとつの契機に、エロも定番のジャンルとして確立することになったんです。
そこからエロは、女教師ものや痴漢ものなど、多岐にわたって独自に進化。『新任女教師』(1996年~)のような今日にまで続く名作シリーズが次々に作られることになりました」
現存するエロVシネメーカーの最古参で『新任女教師』シリーズを制作するスターボードのプロデューサー・海津昭彦氏がエロVシネのエロスについて語る。
「1990年代のメーカー間では“あの子が脱いだ!!”という初脱ぎの話題性にこだわりが強かったため、初期の『新任女教師』は脱げる女優を起用することが多かった。でも僕は、ただ脱いだだけという中途半端なものではなく“エロドラマ”を追求したかったので、次第にAV女優を起用するようになりました。とはいえ、AVとの差別化を図るため、セックスに至るまでの経緯を丁寧に描き、必然性のあるセックスを見せることにはとことんこだわりました」
『新任女教師』1作目の初回出荷売り上げは5000万円だというから、いかに当時隆盛を極めていたかがうかがい知れる。