服薬や生活習慣の見直しといった方法以外にも、EDを改善するアプローチは存在する。日本で主に行なわれているものとして、「ホルモン補充療法」「陰茎プロステーシス手術」などが存在する。
ホルモン補充療法は、前項でも登場した、男性ホルモン「テストステロン」を注射する治療法だ。
1958年に東大病院泌尿器科に男性ホルモン外来を開設、御年90歳のいまも現役の泌尿器科医として都内のクリニックで診療を行なっている男性の性機能研究の第一人者、熊本悦明医師がいう。
「EDの最大の原因は、血管保護作用を持つテストステロンの分泌が加齢によって衰え、血管を拡張させる物質である一酸化窒素が不足するからです。一酸化窒素がなければ、ED治療薬を服用しても意味がありません。治療の第一歩としては、一酸化窒素を作る男性ホルモンをどうするかが重要なのです。
一度抜けてしまった歯が元に戻らないように、一度失われてしまったテストステロンも取り戻すことはできない。しかし、入れ歯のように“ないものを補う”ことは可能。テストステロンを注射で補えば、再びエレクト(勃起)するようになります」
まずテストステロンの量を検査し、不足していることがわかれば、2週間に1回から1か月に1回程度、テストステロンを腕やお腹に注射する。費用は1回数千円程度だ。
◆100歳でも挿入できる
ED治療薬などの治療を行なってもEDが改善しない場合に、“最終手段”として行なわれるのが「陰茎プロステーシス手術」だ。