
その時、試写室にはどよめきが起こった(時事通信フォト)
昭和に比べて平成の時代は「女優が脱がなかった」と言われるが、それでも“本物の女優”は見事な演技を見せた。平成初期の1990年代に、堂々とスクリーンで裸身を晒した女優たちの名シーンを振り返ってみよう。
映画評論家の秋本鉄次氏が真っ先に名前を挙げるのが、『さまよえる脳髄』(1993年)の高島礼子だ。当時無名に近い存在だった高島は、初主演となったこの作品で妖艶なカラミに挑戦した。
「高島は精神科医役で、刑事役の神田正輝と交わるのですが、高層ビルの一室で窓ガラスにバストを押しつけられて、バックから乱暴に突かれる。それをビルの外からの視点で撮っているんです。“誰かに見られてるんじゃないか”と考えているうちに興奮していく変態性を見事に体現していました。この映画が話題になり、人気女優への階段を上っていきました」(秋本氏)
『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994年)で見せた高岡早紀の濡れ場も、語り種になっている。
「高岡の真っ白な巨乳がスクリーンに映し出された時、試写室にどよめきが起こったのを覚えています。それほど彼女の豊満なバストは鮮烈だった。浴場の湯女の役で、佐藤浩市とのカラミで巨乳がゆっさゆっさと揺れる様は、ある意味スペクタクルでした」(秋本氏)
元文部省官僚で映画プロデューサーの寺脇研氏は、かたせ梨乃の『身も心も』(1997年)を推す。
「『極道の妻たち』(1986年)でも脱いでいましたが、『身も心も』での奥田瑛二との濃厚な濡れ場は、汗ばむ体が妙にエロティックで、迫力もあった」