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魔性の女は世紀の音楽家をも籠絡
たった一人の女性の妖艶な魅力に君主が惑わされ、国が傾いた……そんなエピソードが、世界中にいくつも存在する。賢者は、歴史に学ぶ。教科書には書かれていない、歴史を動かした女性たちのドラマを紹介しよう。
19世紀のヨーロッパ社交界では、ローラ・モンテスが“魔性の美女”として名を馳せた。『歴史を彩った性豪セックス列伝』の著者・菊池美佳子氏はいう
「イギリスで生まれ、早くに父親を亡くした彼女は、15歳の時に軍人と駆け落ち。当時イギリスの植民地だったインドに渡って結婚しました。ところがすぐに結婚生活に飽きたのか5年で別れ、その後は美貌と抜群のスタイルを武器に、ヨーロッパ各地の舞台でセクシーなパフォーマンスを披露。パトロンたちと性愛関係を重ねました」(菊池氏)
パリでは天才ピアニスト・リストと愛人関係にあり、ショパンとも親密だったといわれている。ドイツ・ミュンヘンでは、バイエルン王ルートヴィヒ1世に庇護を求めたが、その時、彼女は驚くべき行動に出る。作家で『愛と欲望の世界史』の著者・堀江宏樹氏はこう解説する。
「彼女の見事なバストを見てのぼせ上がった老国王が『それは本物なのか?』と聞くと、ローラは黙ってナイフを取り出し、胸元にツーッと刃を滑らせてドレスを裂き、乳房を露わにしました。
こうして国王を虜にしてしまった彼女は、女伯爵など複数の爵位を授かり、宮殿や多額の年金まで与えられました。しかし2年後、ローラの追放と国王の退位を求めて学生を中心とするデモが起こります。この1848年革命で国王は退位し、ローラは国外追放されました」
1848年はヨーロッパ各地で革命が相次ぎ、“諸国民の春”と呼ばれたが、その陰には、国王を淫欲に溺れさせる女の存在があったのである。
※週刊ポスト2019年8月2日号